先日の部分ウィッグの製作は名古屋からの方が
日帰りで蒲田までご来店くだいました。
コロナ禍以前は年に1回ぐらいのペースでご来店いただいた方です。
スリールの部分ウィッグをお使いでした。
久しぶりにお会いすると髪を一つにお纏めで
最近お使いの部分ウィッグは人毛100%で
くせ毛のうねりのため、髪を下せないとのことでした。
特注品で30万円です。
「人毛は自然なはず」
そう思うのは当然のことです。
近年の人毛100%のウィッグは人工毛ミックスに比べて
扱いが難しく不要なくせ毛にお困りでした。
「ウィッグは消耗品なので」と
往復新幹線代を考えても、当店での部分ウィッグの買い替えで良いと思ったそうです。
お使いだった部分ウィッグの仕様を拝見すると
きっと最初の1か月ぐらいは、まだ良かったはずです。
そこからは髪のうねりとパサつき
人工頭皮の中の部分に髪が入り込んで
トップが変なボリュームになってきたそうです。
2年で30万の費用対効果を考えたそうです。
因みにスリールの部分ウィッグは2年以上お使いの方がほとんです。
ここで人毛のウィッグがどうして長持ちしないかという理由をご説明します。
1、人毛を売るアジアの若い女性が減っている
人毛は当然誰かの髪だったものです。
髪は、もちろん若い人の方が良質です。
昔のウィッグ(20年ぐらい前)は中国の若い子の髪が主流で作られていて良質でした。
今は髪を売る若い人が減っていて中国人以外の髪が多く売られています。
くせ毛の髪が多く売られています。
このウィッグは使用して2か月程度の人毛100%です。
シェモアでウィッグ製作をさせていただいたお客様が
それまで使用されていたウィッグでしたが
「要らない」と言って寄付してくださいました。
洗ったあとは、こんな風にくせ毛になります。
スタイリングが大変です。
話が少し反れますが
日本でもヘアードネーションといって髪の寄付のお話を聞くことがあると思います。
これはウィッグが必要な子供のための寄付です。
もちろん、ドネーションの髪も若い人の髪の方が子供のウィッグには適しています。
2、ウィッグに使用されている人毛はいったんブリーチのように明るい色に加工している
人毛ウィッグは褪色が早く、すぐに明るくなってしまう傾向があります。
それはほとんどの人毛が加工されていて
その後、必要な色に染めているからです。
一旦ブリーチのような色に脱色された人毛は、
その後暗いダークブラウンや黒で染めていて
退色が早いというわけです。
3、傷んでいる人毛はスタイリングが難しい
1,2のご説明通りウィッグの人毛は傷んで乾燥をしている髪が流通しているのが現状です。
フルウィッグでもそうですが、部分ウィッグではご自分の髪との違いが出て気になります。
このように『人毛』=『自然』ということにはなりません。
人毛100%のウィッグの方がお手入れが大変で長持ちはしません。
ウィッグ業界はほとんどが海外生産で
人毛も海外のものになります。
日本でヘアードネーションで集めた髪も一旦海外で処理をしています。
ちなみスリールのウィッグは20%の染めていない良質な人毛と
東レ・モノフィラメントの人工毛のミックスです。
退色がかなり少ないです。
人毛の買い付けから海外工場での生産依頼もしているので
ウィッグのことはかなり知識があります。
患者さんからのいろいろなご質問には
できるだけお答えしております。
業者さんからのご連絡は返信しないこともあります。
ご了承ください。
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